ヘビトンボ

【すみません、この記事はコチラに引っ越ししました】


日本でも「大きな部類の昆虫」としてヘビトンボは君臨するが、外国にはもっとすごいのが居る。有名なのは、中南米のオオキバヘビトンボで乾燥標本もよく見かける。しかし、なんと言っても中国からベトナムあたりに棲んでいる種群がスゴイ。写真で見るとおり、素晴らしくカッコイイ。さしずめこちらの和名はオオアゴヘビトンボとする。オオキバとオオアゴの違いは若干のニュアンスのようにも思えるだろうが、実物を見ると正にそんな感じ。南米のはいわゆるヘビトンボに見えるが、こっちはクワガタにも通じる“アゴ”というニュアンス。

スケールで見ると14cm。ということは国産の2倍。長さが2倍なら迫力は4倍。そして黒々として太く分厚いとなれば8倍くらいの重みを感じる。さらに寸法のみならず、色や造形も比較にならないので16倍カッコイイ虫。特徴のある頭部には、黄紋の入る変異があったりするし翅の斑紋も大陸らしさを醸し出す素晴らしい面持ち。とにかく“風格”というものが備わっている。あくまで主観的特筆として、ヘビトンボといえばヤワヤワでシオシオの腹部が代名詞だが、こいつの腹部はかなりしっかりしていて整形しやすい。

体長的な比率ではナンベイオオキバヘビトンボの方がキバが長くなるように思うが、それはあくまで細くて長いだけで頭部の形も単調でツルンとしている。そこで、このアジアオオアゴヘビトンボのキバが長くなったらどうなるだろう? 現状でもナンベイの方が貧弱で華奢に見えるのだから、未だ見ぬ大型個体[種]を想像しただけで楽しい。どこまででかくなるのか、アゴのサイズは、性差や地域変異は。。。おお、たくさん採って比較してみたい。そしてこのアゴの存在意義や威力を体感したい。

インドネシアなどにも大きな種があるものの、どちらかと言えばオオアゴではなくオオキバな感じ。えっ、それとか国産と南米産も図示しろと? すみません、手元にないのでネット検索をお願いします。アフリカには居ないのか? ちなみに、ヘビトンボは鮮度が渋い種群で完品を得るのが難しい。なんせ翅が弱くすぐに裂けてしまう。そんな中でも今回図示した個体はかなり良鮮度の大型で、「翅を展けばさぞかし迫力のある立派な標本になるだろう」と想像。




頭部だけの写真を見てみると、独特の造形や太い大腮基部がクローズアップされる。一見するとクワガタ類で言われる中歯型のような印象。大歯型は存在するのだろうか? アゴの先端は非常に尖っており、内歯が存在し、良く見ると先端部内側に“返り”も確認できる。
ヘビトンボは幼虫時代から肉食獰猛にて、蛹のステージでも噛み合いをするのだから驚く。亜成虫なんてステージもあって水棲昆虫の生態は侮れない。いや、水棲の節足動物は侮れないと書くべきか?

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