御法度:カミキリムシ幼虫編

昆虫趣味で、やってはいけないことにもいろいろある。たとえば、採集時に毒瓶を使う場合「鱗翅目に使ったあとの毒瓶は、鞘翅目に使わない方が良い」などは、まぁ普通。
多少なりとも剥がれた鱗粉が甲虫側に付いて取れにくくて難儀することがあるのだが、どうしても守らなければならないものでもない。。。しかし、今日のはそういうレベルではなくて、絶対やってはいけないことだった。

今日はたまたま、家の近所で朽木を蹴飛ばしていた。武器を持っていなかった私は蹴飛ばすしか能がなかった。すると、めったに出てこないセダカオサムシが転がり出た。土の方に良く潜っているセダカだと思うが、柔らかい朽ち木にも入ることはある。とにかくこれはラッキー。
勿論、ついでなので残った部分の柔らかい部分は蹴飛ばすワケだが、次はなぜかカミキリムシの幼虫が現れた。お尻だけ見えていたので放置しても良かったのだが、よせば良いのに枝でつっつきながら取り出して、さて困った。

手元にあった昆虫ボトルは1本のみ。これは毒瓶ではなくてただのボトル。「・・・これに2頭一緒に入れたら、カミキリムシの幼虫はセダカオサムシの顎で傷つけられてしまうのだろう。でも、出してしまったカミキリも持って帰った方が良いだろう」。普通にそう思った。
自分としてはセダカの方が嬉しいし、家までは100mほどの距離。それに、もしセダカがカミキリムシを食うなら、それは栄養になって良いわという気持ちすら抱きつつ暢気に帰宅。とにかくセダカは完品だったので、愛でてから標本にするか、それとも冬場のペットとして飼育するか…今頃の季節の感情。

結論から言うと写真の通り。なんとも情けないというか、恐ろしい出来事が起こったのだった。家に帰ってボトルから取り出すと、2頭は絡まって出てきた。そして、恐怖のカミキリの顎が、今まさにセダカの後脚脛節を噛み切らんとするところだった。
悔しいよりもビックリした衝撃の現場に居合わせてしまった。見事な切れ味でセダカオサムシの脛節は真っ二つ。カミキリムシの幼虫は侮れない。もう採らないか、または今後二度と決してセダカオサムシとは一緒に入れてはいけないという御法度が増えた出来事。

セダカ受難。拡大して見ると、触角の前7節が特殊な器官に見える

Categories: , ,