ウスタビガの♂が翔ぶ日
すみません、この記事はコチラに引越いたしました
とくに10月2日と3日[2011年]は気象コンディションが悪かった。自分のコンディションが悪いのはさておき。寒いのなんのって霜が降りたり零下なのだから、とにかく気温が低い。全国ニュースでも騒がれたとおり「113年ぶりの記録」とかで平地にも早い雪が降り、お目当てのクロウスタビガはおろかクスサンすら飛ばない状況だった。
そして、大雪山や十勝連峰のみならず1000m足らずの山々にも冠雪。気温が上がるのを待っていたら、知らぬ間に月は太っていた。余談だが、そんな中でもカトカラやムクゲコノハは灯火および樹液に集まっていた。
5日になってようやくクロウスタビガが飛ぶ感じになったが、それでもまだかなり寒い中、ウスタビガ♂がまとまって飛んだ。界隈ではクロウスタビガより珍品(?)と言われている種ウスタビガ♂だ。
そもそも我が家界隈ではあまり見かけない種ウスタビガだが、1年のうち何回か『♂がまとまって飛ぶ日』がある。日誌を見ると、去年はまとまって飛んだ日を確認しているが一昨年は観察していない。今年のそれらが数日早いのは誤差の範囲で、すなわち今頃に限られる現象。
極端でなければ寒い日も大丈夫。月の加減も影響しているのかも知れないが、今考えている理屈は『多数の♂が灯火に集まるのは♀がフェロモンを出さない日』。。。これに尽きる。かつ発生が揃ったか、羽化したものが溜まっていた条件も重なった時、その日だけは♂がまとまって街灯に集まるのだろうという仕組みだ。
とにかく通常の発生期間中は、♀のみは連日各地で見かける。良い発生日には♀もまとまったりするが、その纏まり方は♂のそれとは違って、いわゆる普通の鱗翅目を考える際に理屈の通る纏まり方で、不思議に見かけない♂に対して“珍品”という錯覚を起こす。
過去に未交尾の♀のフェロモンが強力に♂を集めるのを観察しているが、そうでもないと♂をまとめて見ることはほぼナイ。すなわち「多数の♂が我々の目の前に現れるのは♀のフェロモンが出ていない日」ということ。
また、♀は早い時間から飛ぶが♂は深夜から朝方に良く飛んでいるような気もするので、時間もきっちり記録していかないといけないと思う今日この頃。すっかり夜が明けてから林内を活発に飛んでいるのを見るのは♂ばかりだ。ただし、深夜や早朝の観察を綿密に行うのは辛いものがある。
もっとも、♀がまとまって見られるかといえばそうでもなく、私のテリトリーではだいたい多くても数頭で決して多産とは言えない。以上、私見ではあるが、これらが適度に数の少ない産地で観察される現象なのか多産地でも垣間見ることが出来るのか、私にはわからない。
北海道産のウスタビガは表裏ともに色調が濃くなることで知られているが、赤茶色が強くなるだけでなく黒化もよく見かける。写真はいずれも♂だが、上の個体は界隈のほぼ平均した変異で、下の個体は界隈にしては黄色い変異。界隈ではこういう黄色い個体の方が珍しいと感じる。黒化変異はグレードをともなって表現し、最高位をG5として珍重する。♀も黒化が見られるがその変異は♂に比べて見逃しやすい。