普通種アオゴミムシ

【すみません、この記事はコチラに引っ越ししました】

MDケースで標本作成中・この作業は展足および展脚と言う

季節が季節だし、パンパンと朽木割でもやってみようと散歩に出かけた。晴れているので、フユシャクと一緒にタテハではないチョウも飛んでいる。モンシロチョウはもう終見かも知れないが、モンキチョウはまだちょっと元気で盛んに産卵している。ベニシジミは好きなチョウ。
林内に入っても冬枯れているので歩きやすい。視界も良い。いきなり堅い木を相手にするのは辛いことが容易に想像されたので、腐れた埋没木のみを探して腕や肩のリハビリ。
そして結論ソノイチ。「寒い季節でも虫が出てくるのは楽しい」。アオゴミムシとツンベルグナガゴミムシと思しきを採集。厳密にはいろいろ出てきているが、お題は普通種。

虫屋は、たとえキレイでも普通種には眼もくれない場合が多い。もし今、世に言う普通種と珍品が入れ替わったら…ベニシジミとかアオゴミムシとかは、血相を変えて探す代名詞なのかも知れない。でも実際には、珍品には珍品顔という不思議にカッコイイ現象もあるにはある。

アオゴミムシはキレイ。好きな虫は何と聞かれてもいろいろあるが、このアオゴミムシはかなり上位に入る。正露丸みたいな香りも、森林浴のついでに嗅いでみると妙に心地良い感じ。そこで「よし沢山の標本を配ってアオゴミムシ仲間を増やそう」という変な考えと「なにか異常型でも出ないか?」というお馬鹿な考えが浮かんだので、ひたすら柔らかい越冬用の埋没木をパンパンしていった。腐った木の中からポロっと出てきた瞬間からゴミひとつ着いていなかったりする。巷のフッ素加工やら無洗車コーティングも顔負けの瞬間。

ツンベルグナガゴミムシと思しきは光沢が良くてサイズも良くて好き。ビシっとした展足でなくてすみませんが、アオゴミもツンベルグも前脚符節の発達したモノが♂。そこで腹部端の鞘翅形状、つまりお尻を見ると、♂はとんがり気味で♀では丸いことが判る。ちょっと支離滅裂気味だが、2♂2♀以上の数で見えてくる変異は楽ちんでも、沢山並べないと判らない変異もある。全国的な地域変異なら同一種でも数限りなく比較するが、そこにはいわゆるコレクターとはちょっと違うイメージが存在する。
余談だが、♂で前脚が発達するのはハンミョウも同じだし、ゲンゴロウも似たような感じ。ひょっとして肉食ほど顕著なのかも知れないと思ったりもしたが、そうでもない種群もある。交尾およびマウントの際に重要な要素かも知れない。また、ツンベルグナガゴミムシからは抗カビ剤が発明されていてツンベルクリンという名が付けられているらしいが、このネーミングは興味深すぎ。
そして、このプテロというグループの同定には慎重を要するが、種が網羅されて良い図鑑が1つ出れば、非常に面白くなりそう。のちの新知見で仮説が覆されようとも、今の情報を蓄積した気合いの図鑑が欲しい。それはとても意義のあることと思うが、インターネットの方が良いのか。悩ましいところ。。。

さて、昆虫趣味でない方からすれば、絶対に理解できないのが「標本箱に同じ種類を沢山並べる」と言うこと。趣味の方でも博物学的視野がなければ理解出来ないかもしれない。自分としては、1種における全国変異や、各種細分化されていく分類は専門の方にまかせば良いと考えている。それはまったくご苦労で頭の下がる思いである。
そこでひとつ言いたいこと。それは、学者であろうが個人であろうが、昆虫標本をコレクションすることに賛否両論あっても、とやかく言うのには無粋な範囲だと思うこと。
雑ブログなので余談ついでの余談ばっかだが、学名にthunbergとある種は多いように思うが、和名にツンベルグさんの名を冠した虫は少ないような気がする。

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